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さんあくにんものがたり

三悪人物語

山本 周五郎

忍術千一夜 第二話

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,990 字 · 58 页

青空文庫

……幹部役人と旦那衆の懇談は終わった、すなわち、主食副食をはじめ日用雑貨の割当を削減し、価格を倍に値上げする、そしてぬけ買いを厳重に取り締まる、犯した者は逆さ磔刑にする。これ一に「貧しき者、正直者の生活を保証するための至上法であって、これにより庶民の社会的連帯観念と、自粛精神ならびに道徳的良心の自覚を促進するであろう」という結論である。その公明にして理路整然たること、かの権頭にでも聞かせたら狂喜したに違いない。――やがて飲むだけ飲み食うだけ食った役人たちは、旦那衆からの贈り物をふところにねじ込んで、たいそう機嫌よく席を立った。招宴は終わったのである。

みんなそろって出ていったが、間もなく三人だけ引き返して来た。筆頭与力の蓑賀参蔵に持木成助と来六屋出平である。戻って来た彼らは襖障子を閉め、互いの膝を突き合わせるように坐った。蓑賀殿の肥えた円い顔が、こんどはきんと引きしまっているし、声も低く真虔な響きをもっている。

「江戸から御使者があった」参蔵殿はこう申される、「来月初めに監察使が来る、それまでに仕事をしなければならない、来六屋の倉は大丈夫として、持木屋、金のほうはいいか」