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さんあくにんものがたり

三悪人物語

山本 周五郎

忍術千一夜 第二話

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,990 字 · 58 页

青空文庫

「それがいな、もたくさだ、おれもめもおとこだ、てきろ、そのこた」

「私も賛成ですよ」

杢もこう云って指をひらひらさせた、

「やりましょう、それはですね、つまり」

「まあ象徴派は取っとけ、それより相談が定ったら宵の口の話をやっつけよう」

権頭は歩きだした、

「例のつんぼ井戸の向こうの家よ、きっとまとまった金が握れるに違えねえ、そうしたらこの土地を売ろうじゃねえか」

「いかんげだ、すぎこすぎこ」

「杢もいいな、じゃ急ごうぜ、濠を越すんだ」

三人は道を西へ急いだ。

材木内久町の濠には夜になると小舟が待っている。これは市民たちが夜にまぎれて食糧物資を買い出しに出るのを、番所の小役人が内職稼ぎに渡してやるもので、取締りのある時など事前に教えてくれるから、この三人なども便利に使っているわけである。――彼らはこの舟で濠を渡った、そこから外はまったくの田園風景だった、青い月光を浴びて田と畑と森と、遠く近く農家がおぼろに霞んでみえる。濠に沿って五六丁ゆくと、北の庄村の地端れに近く、首切地蔵というきみの悪い地蔵尊へゆく道があり、その脇に野井戸が一つある、どういうわけか「つんぼ井戸」