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さんがいばんれいとう

三界万霊塔

久生 十蘭

「富士」1949(昭和24)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,716 字 · 39 页

青空文庫

それから山崎仁太や対島の伜なんかも。すこしうるさくなったネ」

「帰るやつはどうしたって帰る。そんなものを気にすることはない」

「お前も受取ったろう。対島の伜が送ってよこした“ダーヴィン日報”の切抜きを」

「受取った」

「モラル・インサニテイ(悖徳性)の犯罪、には恐れいったネ。山崎あたりがネタをやったんだろうが、なかなか徹底していた。ダーヴィンあたりの新聞記者もバカにならんネ。マックスとかいう記者だったが」

「地方検事は問題にしていなかった。新聞記者の空想談だといっていたな」

「内地じゃどうだろうネ。今日、相談にきたのはそのことなんだが、バカな騒ぎをされても困るんだ。いまごろになって十年前の古傷に足をとられるなんてのは、どう考えてもバカバカしいからネ。むかしなら松永でもやって叩き伏せてしまうのだが、このせつは時世が変ってしまって、そんなことをすると藪蛇になる恐れがあるしネ」

「相談というのは」

「だからさ、対島の伜が、山崎あたりを証人にして告訴でもしたら、うるさいことになりはしないかと思ってネ。大笑いなんだが、伜や娘は、おれを高潔なクリスチャンだと思いこんで心から尊敬しているんだからネ。