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さんかくけいのきょうふ

三角形の恐怖

海野 十三

「無線電話」1927(昭和2)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,969 字 · 24 页

青空文庫

つまり私の立てた説が本当に物凄い価値を現わしたことになるのですね。

あの手紙ですか。あれはあの晩尋ねて行った須永先生が、私のことを大変心配して、どうにかして若い身空の私に元気をつけさせようと思って、大いそぎであの手紙を創作したのじゃないかと思っています。

それに一つ根拠のあることは、母の話によると、実は姉の生きていた頃、姉は大変須永さんを褒めていて、誰かが悪口を言うとしまいには泪を出して泣いた位だという事です。あの手紙の中にある細田氏のことというのは実は須永さんの創作にして、且つ須永さん自身の体験の一部を漏してあったのではないかと思うのです。遺憾なことに須永さんもそれから数年後、英国へ留学して、あの地で奇妙なバクテリアに取憑れて亡くなったので、そんな事に気がついたときにはもう事実を須永さんから聴きただすことも出来なくなっていました。

そうなると私は罪を背負わねばならぬことになりますが、そんな事はどうでもよいという気がしています。いや貴方が今御覧の通り、これで体重が十九貫ありましてね、至極呑気に生きています。昔のような安価なセンチメンタリズムに陥るには、今のところ余りに健康すぎると言うわけなんですよ。