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じょうしゅうのこずとさんめい

上州の古図と山名

木暮 理太郎

「山岳」1923(大正12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,311 字 · 13 页

青空文庫

又此図には岩菅山が記入してない。野反池を沼尻というとあるのも少しおかしい、『正保図』にはどう記載してあったか、生憎手控を紛失してしまったので、何ともいうことを得ない。普通は沼から水の流れ出るあたりを沼尻というので、沼其物を沼尻と称することはない筈である。けれども其処に部落でも発達すれば、やがてそれが地名となり沼をも其名で呼ぶようになること、野尻湖の如き例が示す通りである。野は即ち沼の音に充てたものに外ならない。野反は従って沼反であり、沼のある「そり」ということであろう。沼から出る沢即ち今の千沢の東には岩松山、譲鏡山などいう山が信州側に書き入れてあるけれども、五万の図のどの山に当るものか、想像もつかない。大倉山は二千五十四米の大倉山と同じものであることは疑なきことであって、入山村の住民は此附近まで盛に山稼ぎに入り込み、一時は此あたりから岩菅山へかけても自村に属するものと思っていたらしい。明治二十一年の入山村の書上を見ると、字地の中に「大倉 千百七拾七町七反九畝五歩。魚ノ川 二千百四拾八町二反三畝拾歩」があり、山岳の部に「岩寥山 所在、吾妻郡入山村字魚ノ川」