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ふざいじぬし

不在地主

小林 多喜二

一~十一、十六「中央公論」1929(昭和4)年11月号、十二~十五(「戦い」の表題で。)「戦記」1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,990 字 · 141 页

青空文庫

判事――小樽あたりで演説会を何故やるか。どこ迄も喧嘩腰でやる気なら、調停を取り下げて貰いたい。

小作官――お前達が喧嘩をして勝つと、小作人全体がきかなくなるから、そんな事をして貰っては実に困るじゃないか――お前等は金がない、味噌がないと云うが何故小樽あたりへ行けるのか。

伴――組合支部の応援で行ってるのだ。

これは一字一句も直していない。それもたった一部の写しでしかない。

これを読んだら「調停裁判」の本質が何んであるか、分る筈だ。

全道各地に「地主協議会」というものを作り、蔭ながら岸野を援助している。彼等も亦結束し出した。――××支庁長は「小作人勝タシムベカラズ。」という厳秘の指令を管轄内の「有力者」に配った。それが組合支部の一小作人の手に入ったのだ。

それならば、よし! 我等は益※(二の字点、1-2-22)結束を固めなければならない。

情報、八

岸野は会見の度毎に、言を左右にし、代人をもって無責任な面会をさせ、誠意さらに無し。

「小作人が生意気になって働かなくなったら、北海道拓殖のために大損害を与えることになる。――お前等の要求は、俺一個の立場からではなく、この大きな問題からいっても断じて通すことはならん。