轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふざいじぬし

不在地主

小林 多喜二

一~十一、十六「中央公論」1929(昭和4)年11月号、十二~十五(「戦い」の表題で。)「戦記」1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,990 字 · 141 页

青空文庫

「よしよし、可愛い、可愛い。」

由三は薄暗いベトベトする土間に仰向けになったまま、母親を見ると、急に大きな声を出し、身体をゴロゴロさせて泣き出した。

S――村

由三は空の茶碗を箸でたたき乍ら、「兄ちゃ帰らないな……」と、唇をふくれさせていた。

兄の健は、畠からすぐ市街地の「青年訓練所」に廻ったらしく、夕飯時に家に帰らなかった。――健は今年徴兵検査だった。若し、万一兵隊にとられたら、今のままでも食えないのに大変なことだった。「青年訓練所」に通えば、とにかく兵隊の期間が減る、そう聞いていた。それだけを頼みに、クタクタになった身体を休ませもせずに通っていた。

母親は背中へジカに裸の子供を負って、身体をユスリユスリ外へ出てみた。――子供は背中でくびれた手足を動かした。その柔かい膚の感触がくすぐったく、可愛かった。

「ええ子だ、ええ子だ。」母親は身体を振った。――一度、こんな風に負ぶっていて、子供をすっぽり、そのまま畑へすべり落してしまったことがあった……。

野面は青黒く暮れかかっていた――背が粟立つほど、底寒かった。

健達の、このS村は、吹きッさらしの石狩平野に、二、三戸ずつ、二、三戸ずつと百戸ほど散らばっていた。