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ふしのくすり
不死の薬
小川 未明
「日本少年 臨」1914(大正3)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,534 字 · 7 页
星晴れのした夜の空に高い山のとがった嶺が黒くそびえて見えます。その嶺の上にあたって一つ金色の星がキラキラと輝いています。
三人の子供らは、よく祖母や、母親から、夜ごとに天からろうそくが降ってくるとか、また下界で、この山の神さまに祈りをささげるろうそくの火が、空を泳いで山の嶺に上るとかいうような不思議な話を胸の中に思い出しました。
「神さまというものはあるものだろうか。」
と、もっとも年少の丙が、たまらなくなってため息をしながらいいました。
「学校の先生はないといったよ。」
と、乙が教師のいったことを思い出していいました。
「先生はどうして、ないことを知っているだろう。」
と、甲が乙のいったことに疑いをはさみました。
「僕はあると思うよ。そんなら、だれがあの星や、山や、この地球や、人間を造ったのだろう。」
と、丙が輝く瞳を星に向けて涙ぐみました。夜の風に吹かれて、かしの木がサワサワと鳴っています。
「そして、だれがこの人間を造ったんだろう。」
と、丙が声を慄わせて叫びました。
三人はしばらく黙って、深く思いに沈んでいましたが、
「不思議だ。」
といい合いました。
すでに北国の夏の夜はふけてみえました。