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ふちんぐんかんのみほん

不沈軍艦の見本

海野 十三

――金博士シリーズ・10――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,749 字 · 24 页

青空文庫

おお、ええ加減に離せ。わしは死にそうじゃ」

「死ぬ前に、一言にして白状せられよ。つまり金博士よ。あの未曾有の超々大戦果こそ、金博士が日本軍に対し、博士の発明になる驚異兵器を融通されたる結果であろうという巷間の評判ですが、どうですそれに違いないと一言いってください」

「と、とんでもない」

と金博士は、珍らしく首筋まで赧くして首を振った。

「と、とんでもないことじゃ。あの大戦果は、わしには全然無関係じゃ。わしが力を貸した覚えはない」

「金博士、そんなにお隠しにならんでも……」

「莫迦。わしは正直者じゃ。やったことはやったというが、いくら訊いても、やらんことはやらぬわい。これ、もう我慢が出来ぬぞ、この殺人訪問者め!」

大喝一声、金博士は相手の頤をぐわーンと一撃やっつけた。とたんにあたりは大洪水となったという暁の珍事であった。

というようなわけで、あれ以来博士は、あられもない濡衣をきせられて、しきりにくすぐったがっている。かの十二月八日の博士の日記には、いつもの大記載とは異り、わずかに次の一行が赤インキで書き綴られているだけであった。もって博士の驚愕を知るべし。

“流石儂亦顔負也矣! 九排日本軍将兵先生哉!”