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せかいへいわのすうせい

世界平和の趨勢

大隈 重信

「太陽 臨時増刊 第十七卷第十五號 戰爭歟平和歟」博文館、1911(明治44)年11月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,746 字 · 14 页

青空文庫

武装競争の先駆者

思うに何人もかかる馬鹿馬鹿しきことに国力を消耗し、人民の膏血を絞ることの愚を笑わざるものはなかろう。これ輓近各国の識者間に世界平和論が盛んに唱えられ、漸次勢力を得つつあるゆえんである。而してまた我輩が世界平和の曙光を確認するゆえんである。

武装競争の先駆者

近世に於ける武装競争の先駆者は独逸である。独逸がナポレオン戦争以後漸次勃興し、普墺、普仏の二大戦役を経て、愈々欧州中原の覇者たる地位を占むるや、その一旦得たる地位を維持し、権威を失墜せざらんがためには、四隣の最大強敵に打勝つの勢力ある大陸軍を必要とした。即ちもし独逸にしてこの大陸軍を欠けば、一日も欧州中原の覇者たることは出来なかったのである。故にここまでは吾人といえども独逸人が侵略的の野心を以て軍備を拡張したものでないということを認めるが、而かもこれが延びて欧州各国の陸軍拡張を促す基となり、今日独逸一兵を増せば、明日仏蘭西二兵を増し、明後日独逸は更に三兵を増し、露西亜、墺地利等もまた各々これに応じて増すという風に競争して、ついに欧州大陸の列強をして今日の如き大陸軍を用意せしむるに至ったのである。