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ふたおもてくらべぼたん
両面競牡丹
酒井 嘉七
「ぷろふいる」ぷろふいる社、1936(昭和11)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,317 字 · 25 页
くださるでございましょう――と、いったことがいい得る訳でございました。
お千代さまのお仕事が、難なく運んでおりますれば、ああした手違いも起こらなかったでございましょう。が、もくろんだお仕事に失敗なされましたことと、その報告のため、私たちの宿に姿をお見せになったことが、すべてに破綻をきたしたのでございましょう。よい頃を見はからって、私とお千代さまを入れかえるために、二組をおつくりになり、その一つをわたくしに下さった、あの立派な衣裳も、結果は、ただ、私を驚かせるに役立つにすぎないのでございます――わたくしの、夜の静寂を破った叫び声、それが、すべての終りであったのでございました。かけつけられた、お上の方――あの、お庭そうじの男衆に姿をやつしていられました警察の方も、初めのうちは、さぞ、
常※(歌記号、1-3-28)こちらにもおくみさん。こちらにもお組さん。こりゃまあ、どうじゃ。
という唄の文句にございますように、仰天なさったことでございましょう。それにいたしましても、時おり、三味線とり上げ、常磐津『両面月姿絵』なぞ、おさらいいたしますとき、
※(歌記号、1-3-28)奈良坂やさゆり姫百合にりん咲き