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『せっかずせつ』のけんきゅう
中谷宇吉郎集 第二巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『雪華図説』の研究、『雪華図説』の研究後日譚、兎の耳、英国の物理学界と物理学者、温泉1、米粒の中の仏様、清々しさの研究の話、墨色、大謀網、長崎留学、鼠の湯治、民族的記憶の名残、室鰺、雪協議会の報告、真夏の日本海。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,098 字 · 172 页
そのことなどは墨の材料を作る上によほど参考になることだろうと思われる。
ところで結局大騒ぎをして昔の名墨のような墨の出来上る頃には、誰も墨なんか使わないような時代になっていはしないかという心配もある。しかし物の色、しかも微妙な色調に関する科学的の研究というものが役に立たなくなる時代はこないであろう。この頃外国の良い印画紙が段々輸入されなくなって、国産品を使ってみるとつくづく感ずるのであるが、どうも色調が悪いようである。感度とか濃淡とかは十分出るにもかかわらず、仕上げた時の色の悪いのは致し方がないようである。そういえば外国の良い印画紙には黒色の非常に豊富な種類があって、青墨の墨色にも油煙墨の墨色にも似た色調のものが幾種類もある。あの印画紙の色の加減が分るまでは、日本の写真材料もまだ本当のものにはなっていないといわれても仕方がない。感度とか濃淡とかいうものだけではまだ実用品としての写真としなくてはならない。あの名印画紙とも称すべきものの蔭に隠れている色調の研究をどういう風にしてやったかを知りたいものである。きっと長い間の地味な土台になる研究があったのだろうということだけは間違いなくいえよう。