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『せっかずせつ』のけんきゅう
中谷宇吉郎集 第二巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『雪華図説』の研究、『雪華図説』の研究後日譚、兎の耳、英国の物理学界と物理学者、温泉1、米粒の中の仏様、清々しさの研究の話、墨色、大謀網、長崎留学、鼠の湯治、民族的記憶の名残、室鰺、雪協議会の報告、真夏の日本海。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,098 字 · 172 页
これらの百花撩乱たる現代物理学の業績も、少し離れた立場から見たならば、結局は八年前にラサフォードが夢みたところのものであった。もっともあの時提出した原子核がα粒子と水素核とからなっているという仮説は、その後の陽電子や中性子の発見によって変更を受けたのであるが、そんなことはどうでも良いことなのである。歴史の方向をきめるというようなことが実際にもあるものだという良い例を見たような気がするのも自分ばかりでもあるまい。一月程前にラサフォードの急逝をきいた時に、次の王立学会の討論会を待たずに死んだことを気の毒にも思ったが、考えてみれば実に幸福な生涯であったという気もする。それというのは原子物理学の研究もここまで行けば一段落と見て良いのである。原子の電気的崩壊のような仕事になると、大仕掛けにやるには大変な設備と金とがいる。そしてその方面の研究は米国で盛に実を結びつつある。学問の発達という点からいえば、ラサフォードは、近頃の米国の華々しい原子物理学の発展振りを見ながら安心して死ぬことが出来ただろうと思われる。
こういう大きい仕事になると、それはラサフォード一人の力ではなく、キャベンディシュ研究所という大きい組織と伝統との力にまつところも非常に多いことは勿論である。