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『せっかずせつ』のけんきゅう

中谷宇吉郎集 第二巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『雪華図説』の研究、『雪華図説』の研究後日譚、兎の耳、英国の物理学界と物理学者、温泉1、米粒の中の仏様、清々しさの研究の話、墨色、大謀網、長崎留学、鼠の湯治、民族的記憶の名残、室鰺、雪協議会の報告、真夏の日本海。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,098 字 · 172 页

青空文庫

のである。この方法は原子物理学のすべての方面に利用されて、今まで頭の中で作られていた原子や電子の消息を一つ一つ現実に眼に見せてくれたのである。そしてこの頃になって宇宙線の一つ一つもまたこの装置の中で見られるようになり、陽電子の発見もこの霧函の中でなされたのである。

ウィルソン先生はこの仕事でノーベル賞を貰い、その金でかどうかは知らないが、剣橋の郊外約二マイル位の所にコッテージ風の良い家を作って住んでおられた。剣橋の郊外といえば麗しい英国の田園風景の中でも一際優れて綺麗な所で、滑らかなあるかなきかの起伏の丘陵地帯が一面に緑で蔽われ、大きい立木が沢山並んで、砥のような道がその中を縦横に走っている所である。家の中は豪奢な感じが全然なくて、ハイランド出身の先生の好みが、火炉の山家風な姿や、戸のハンドルや閂に金属を使わず全部木で作ったような所によく出ていた。先生はその頃剣橋の太陽物理学研究所長をつとめ、キャベンディシュへは一週一回行くだけだとのことであった。そして雷の研究に没頭しておられた頃であった。大抵はこの家の書斎で暮して、雷雨がやって来ると近くの広い野原の中に立っている観測小屋へ出かけるのだという話であった。