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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页
ところで五億ポンドというのは、この六月末までの話で、その後も、速度は少し減るかもしれないが、生産が需要を上廻ることは確実であるから、政府の手持ちはどんどん殖えて行くであろう。いくらアメリカの政府が、酪農の保護に熱心でも、無制限に買上げることは出来ないから、いつかはこのバターの洪水が、もっと表面に出てくるにちがいない。
現在政府の買上げ値段は、一流品が六十七セント四分の三であるから、日本金にして、一ポンドが約二百四十五円である。二流品はそれより二セント安いので、一ポンド二百三十八円弱である。ところが貯蔵費が一ポンドについて、月に十七セント(六十一円強)かかる。四ヶ月も手持ちをすると、原価が倍になってしまう計算になる。それで政府の方でも、いつまでも手持ちをしていることは出来ないであろう。いよいよ持ち切れなくなった時には、その一部をなんらかの形で放出することになるにちがいない。
バターが安く放出されることは、一般庶民の食生活にとっては結構なことであるが、酪農家にとっては、重大問題である。もし国外放出ということになったら、差し当り日本などが、その禍福を同時に蒙るわけである。