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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页
バチラーさんの話
この頃は大分よくなっているのであろうが、数年前には、東北線の貨車をとるのに、一ヶ月も二ヶ月もかかったことがある。あの細い糸のような東北線一本で、四国九州を併せただけの面積の北海道をぶら下げていて、それをあまり不思議に思わないのだから、まことに可笑しな話である。北海道の開発、即ち今日の日本の開発は、まず輸送問題を解決し、ついで住宅問題に手をつけるというような順序をとるべきであろう。日本の中心地との連絡を良くして、人間がまず普通に生活出来るようにすることが、開発の基礎である。その一つとしては、例えば東北線の複線化などが、まず第一に採り上げられるべき問題であろう。これだと恐らく弾丸道路の五分の一くらいの金で片附く問題で、しかも輸入云々の心配はいらない。
弾丸道路にしても、東北線の複線化にしても、こういう風に考えると、皆北海道の問題である。このように世界も日本も、それぞれひどく狭くなったところに、近代文明の特質がある点が、ちょっと面白く思われる。
バチラーさんの話
ここの研究所の工場に、B氏という七十歳くらいの老職長がいる。年にもめげず、身体も達者だし、眼もいいので、細かい機械類の細工は、たいていこの老人がしてくれる。