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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页
ところでこの食糧の問題は、今さら私などが述べ立てるまでもなく、政府の方でも十分留意をされている。一割増産とかに、何百億円の予算を計上するとか、しないとかいって騒いでいることを、新聞記事で見た。しかしこの一割増産というのが、相もかわらず澱粉の増産を指しているらしい。
日本の食糧問題には、どうも一つの盲点があるように思われて仕方がない。食糧という言葉が、米と同じ意味に使われていることである。米即ち澱粉は、食糧のうちの一つの要素であって、それよりも蛋白質と脂肪の方が、実はもっと大切なのである。脂肪と蛋白質とを必要量とれば、澱粉の方はずっと少くてもよい。そしてその方が健康にもよく、また体力もつくのである。それで現在の日本で、食糧増産といえば、まず脂肪と蛋白質との増産に力を注ぐべきである。米も大切であるが、もし脂肪と蛋白質とが増産されれば、現在の米の生産量でも、まだ余るくらいであろう。
ところでその具体策といえば、酪農の奨励と、水産の増進、畑作では大豆の増産ということになるであろう。これらは、皆北海道の問題である。それで北海道開発の問題は、今後の日本の国是を左右するともいえよう。