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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页
現在は、別府から、一時間おきに、満員のバスが通っているのであるから、まるで事情は変わっている。
ところが、最近機会があって、この地を訪ねたとき、昔の金鱗湖を思い出したことがあった。それは、この金鱗湖の水を引いて、鯉の養殖をしている人に会ったことである。
これは池といっても、温泉もわいているらしく、水温はかなり高い。四月の初めでも、子供たちが二、三人泳いでいた。水温が高く、また水質も養魚に向いているらしく、鯉の発育は、非常によいそうである。まだ二冬越しただけであるが、冬の休眠状態が全然なく、普通の水温の池にくらべて、冬期間の体重増加は、五割も多いという話であった。
それよりも面白かったのは、この水で育てると、一年もしないうちに、鱗が金色になる点であった。たもでしゃくって見せてくれたが、最近いれた鯉は、普通の銀色である。ところが、一年以上ここで養った鯉は、見事な金色に変わっていた。
魚の体色が、水質でこれほどちがうものとは知らなかった。人間の皮膚の色も、こんなに変えられたら、人種問題の解決に、大いに役立つかもしれない。(昭和三十五年四月)