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にさんのさんめいについて
二、三の山名について
木暮 理太郎
「霧の旅」1928(昭和3)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,599 字 · 57 页
維新後になって、人類学、考古学、言語学などの研究が始められ、夫につれてフジはアイヌ語のフチ又はフジで火を意味している、即ち富士山が火山である為に与えられた名であると説かれるようになって、漸く成程と人を首肯かせる解釈が発見されたのであった。然るに山県玉堂という人は『山岳』第四年第三号の雑録欄で、
坪井正五郎、志賀重昂、久保天随の博士学士を始め、アイヌ語に精通せりといふバチエラー氏までが、異口同音にフチは火の義であり、富士山は火山である為に其名を得たと唱道するのは甚しき杜撰の説で、迂闊極まるには驚かざるを得ない。フヂは明にアイヌ語ではあるが、それは雪白の髪を被った老婆の意である、例へば火の神はアベ・カムイといふ可きであるが、土人はさうはいはないで之をアベ・フチといふてゐる、つまり火のお婆さんといふことで、多大の愛敬の意を含む言葉である、丁度千古の雪を戴いた八面玲瓏の富士山の姿がアイヌ達の白髪を被ったお婆さんと似てゐるので、此名山を呼ぶにフチを以てするに至つたことは、一点の疑ふ可き余地がない。
と云う説を発表している。此説によると、アイヌ語の火はアベであってフチではない。