轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页
「あんな高等学校の学生ってあるもんか。――あんなじゃ一人前になれやしないや」
素子の観察は、伸子に同感された。しかし素子が自分では感じていないもう一つの原因も、保の気分を支配したように思えた。パイプをくわえたままの顔を横に向けて、御飯をよそってくれ、袂の袖で腕ぐみをする素子のものごしや口調は、女を少女らしい特徴で意識しはじめている保の感覚にきっと居心地わるかったのだろう、と。
九
なか三日ばかりおいた午後、不意に竹村が訪ねて来た。しとしと雨が降っている日だった。机について翻訳の仕事をしていた素子が、
「不意に――どうしたのさ、用ですか」
面倒そうに縁側に目をやった。竹村は玄関にまわらず、柘榴の樹かげから庭へ入って来ていた。
「渋谷まで出かけたもんだから……いそいでかえっても、この天気じゃ仕事がないしね」
こっちの部屋の机のところには伸子がいた。やはり机に向ったまま、
「この間はどうもありがとう」
保に温室を見せてもらった礼をいった。
「どうしまして……」
素子があがるようにいわないので伸子も黙っていた。
「――一服させて貰うよ」
玄関から竹村はひとりであがって来て、素子のいる座敷の敷居ぎわへ自分で座蒲団をもち出した。