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ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页

青空文庫

段々普通のやりかたをかえて二コマずつとんでいい約束をこしらえたり、逆行していい契約をきめたりした。そしてますます混乱した。

「二コマとんでいいっていうならこうなるじゃないか」

「違うさ、それじゃ斜の線だもの、同じ線の上でなくちゃ」

「だって、こうだぜ、君は強情っぱりだなア」

竹村もそんなことをいう気分になった。

「今更じゃないよ、自分だって相当偏窟のくせに」

「なに」

そして竹村は小さなコマを、盤にめりこますように力を入れてすすめた。

「君は、五黄だろう」

「それがどうしたのさ」

「道理で。――うちの奴も五黄だった。五黄はいかんよ。頑迷だよ」

「――出したのか、出られちまったのか、わかりもしないくせに……」

番がくると、黙ってコマをすすめている伸子の、どこか保に似て円い顔には、倦怠と憂鬱があらわれた。大体伸子は、遊戯に熱中できないたちだった。はじめのうちは気のりがしても、素子のように続かなかった。単純に遊ばず、お互のむしゃくしゃをぶつけあいながら争っているような竹村と素子との遊びかたは、よけいに伸子を疲らせた。

「もうやめだ、やめだ」

勝てない竹村がそういって盤をたたんだとき、伸子は、