轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页

青空文庫

「あら、わたし為朝っていってやしなかったこと?」

そういって伸子は顔をあかくした。

「どっちだっていいじゃありませんか、わかっているんだから……ちょっとごたついただけですよ」

そういって素子は、伸子のばつの悪さを救った。

伸子が、二度と佃の家へはかえらない決心をして、祖母が暮していた東北の田舎の家へ行った。そのとき、おっかけて楢崎佐保子からハガキが来た。吉見さんはそちらではありませんか。もしまだなら、見ていらっしゃい。今にきっと行くでしょう。そういう意味の文句がかかれていた。素子にひかれてゆく自分の感情の性質をしらべようとしていなかった伸子には、その文句のわけがよくわからなかった。なぜ吉見は、この田舎へ来るだろうと、わざわざ佐保子が予言するのか、そして、その予言にどういう意味がふくまれているのか。伸子は、佐保子にしては珍しいハガキと思って見ただけだった。楢崎佐保子は、素子が専門学校の生徒だった頃から知っているのであった。

吉見素子は、佐保子の予言どおり、やがてその田舎の家へ来た。四五日一緒に伸子と暮した。五月で、夜どおしよしきりが鳴いた。桐の花の咲いている田舎の家の日々は、佃との苦しい葛藤のうちに閉塞されていた二十六歳の伸子の、生活をよろこびたのしみたい慾望を開放した。