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にじゅうさんばんち
二十三番地
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,579 字 · 27 页
「エエ、エエ。
と不得要領な返事を与えて置いて、自分の思う通りにズンズンさせて行った。
「気味がよかった。
と、其の話が出ると今でもよく云うけれ共、ほんとうに、二人の男を意のままに働かして、
「坊っちゃん此処は、どうしましょうな。
其処の工合が悪い様ですが、何か好い工夫をなすって下さいな。
と云われながら、垣の外に理由のない干渉をする一人の鼻をくじいて行くまだ十五のポーッとした子の気持を想うと、私まで胸がスウスウする様だ。
何にも、その子が私の大切な弟だからと云うのではないけれ共。
後で聞けば小屋のまとまりのつくまで殆ど半日、垣の隙から、こわらしい眼を光らせて睨んで居たと云う。此の事は家中の者が皆いやがった。
他人の家の仕事に嘴を入れて、いくら世話を焼いて居る者が子供だからと云って、下らない批評などを加えると云う法はない。家を侮辱した事だとか何とか云って居ると、二番目の角力の様な体をした弟が、
「僕行って云ってやりましょうねお母様。
実にけしからん。
と頭を振ったり何かしていきりたつので、笑ってすんでしまいはしたけれ共、あんなじゃあきっと銀行でも毛虫あつかいにされて居るのだろうと思うと、旦那様、お父さんと一角尊がって居る家の者達が気の毒な様にもなったりした。