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ごじゅうねんだいのぶんがくとそこにあるもんだい

五〇年代の文学とそこにある問題

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第十三巻」新日本出版社、1979(昭和54)年11月20日初版発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,472 字 · 50 页

青空文庫

中共勝利とともに国内に流布した中共関係の文書の中には、かつて特務機関として奥地の情報を集めていた文書があり、獄中で検事局からの諮問に答えて上申した文書がある。それらは、侵略国日本が中国人民と中共からかすめとった収奪物でなくて何だろう。注意ぶかい読者には、一人の筆者が、ある場面では中共の農業政策に関して官僚報告めいた文書を発表し、他の場面では中共の文化啓蒙運動・文学政策についてかき、またちがった婦人雑誌の中では柔かい筆でインドネシアあたりの少女の物語をかいているのを発見しているであろう。

趙樹理の作品の紹介も、日本の文化・文学の現実ときりはなされて、民主主義文学の最もかがやかしい典型であるかのように一部から推奨されている。文学サークルの一部に共産主義の文学は寓話になってゆくものだ、という考えかたも導き出されている。

人口の大部分が文盲である中国民衆がいきなりソヴェト社会に入ってゆく独特な社会・文化条件の下で趙樹理の作品がもつ意味は、日本の天皇制文化に加えて無良心な商業ジャーナリズムの肉体文学、中間小説の氾濫に毒されている日本の人民の文化的条件の中で趙樹理の作品のもつ意味とは、同じであるにありようもないのが実際であろう。