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ごがつのそら
五月の空
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,361 字 · 12 页
音楽や、絵や、建築、文学が、皆
我々の、皮膚の下、髪の裡、眼の底にある。
それ故、時に 魂が熱し鳴りひびき
どうにも 仕方のない時が
あるのではありますまいか。
歌のうたえるものはよし
線で 宇宙を抱けるもの、文字を愛せるものはよい。
何にも、心を注ぐすべない人が
盲滅法に 恋をする。
夢中になって する――
その心根は、いじらしい。
*
或時には
余り朗らかとも云えぬ情慾を混えた夫婦の
愛を経験して見ると
親子の愛
まして 自分と父との仲にあるような 父親の
愛くしみの微妙さを 思う。
いささかの陰翳もなく
調和し 活力を増し
箇性を のどかに 発育させる。
犇々と思い出が迫り
父のなつかしさ!
四つ五つの 我にかえる――。
*
心に 満ち充ちる愛も
金がないので 表し得ない時のあるのを
又その時の如何に多いかを
此頃知り
憂いを覚ゆ。
父の上を思い、いろいろの なぐさめや悦びを与えたい。――
それは、勿論 ものばかりが
我心のまことを告げは しない。
けれども、ものも 入用るときがある。
春先 一緒に 二日三日の旅もしたい。
子供の時から愛され 又我も愛し
然し 我ままで、勝手に振舞った過去を思い