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ごかいのまど

五階の窓

小酒井 不木

06 合作の六(終局)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,512 字 · 43 页

青空文庫

恒藤主任は野田の困惑を見てたたみかけて言った。

「答えられないだろう。きみはその朝、北川を通じて社長に渡した二千円の金をその時、ポケットへねじ込んでいたというではないか」

野田はなおも北川のことを考えて、主任の言葉もいわば上の空であった。

「おい、きみ」

と、主任はテーブルを拳でとんと叩いて、注意を促した。

「なぜ返答をしないんだ。きみはその時、北川に拝むようにして、あとでどんな報酬でもするから、これだけは警察へ言ってくれるなと頼んだというじゃないか」

これを聞くなり、野田ははじめてわれに返った。

「嘘です、嘘です。そんなことを言やしません」

野田はついに狡猾な恒藤主任の鎌にかかったのである。これだけは警察へ言ってくれるなと頼んだというじゃないか、という言葉はまったく恒藤主任の創作したものであるが、ああいうふうにきわめて自然に言い出されると、だれしもその罠にかからざるを得ない。恒藤主任はすかさず、

「では、社長の部屋で北川に会ったことは本当だね?」

野田は一時惑乱してしまったが、しばらく考えてから決心したもののように言った。

「仕方がありません。北川くんがあれほど固く口止めしたことをしゃべってしまったのでしたら、社長の人格を傷つけることになりますけれどもすっかり申し上げます」