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ごかいのまど

五階の窓

小酒井 不木

06 合作の六(終局)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,512 字 · 43 页

青空文庫

「いい覚悟だ。それで、きみは確かに二千円をポケットに入れたのだね?」

「入れました」

「その金はどうした?」

野田は上衣のポケットに手をやって一束の紙幣を取り出し、

「これがそうです」

と言って、主任の前へ差し出した。

恒藤主任は百円紙幣の束を取り上げて勘定したが、

「こりゃきみ、十枚だけじゃないか。あとの十枚はどこにある?」

野田は当惑そうな顔をして、

「どうか、その紙幣をよくお調べ願います」

と、やさしい声を出した。

言われて、恒藤主任はそのうちの一枚を抜いて手に取り、しばらくの間、紙幣の表裏を検査していたが、やがて、

「やっ、これは贋造紙幣だ!」

と叫んだ。さすがは、とくにこの道で苦労したことのある恒藤主任、よほどの眼識を持った人でも、容易に区別のつかぬ贋造紙幣を、ものの二分もたたぬうちに見分けたので、野田はいくらか尊敬の心を湧かした。

「仰せのとおり贋造紙幣です。ですから、社長の名誉のためにわたしが奪い取り、またそれがために北川くんにも口止めしたのです」

「すると、社長がこの紙幣を贋造したのか?」

「いえ、違います」

と、野田はきっぱり言った。

「じゃ、なぜいったん二千円の金を社長に渡して、それを取り返したのだ。