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ごかいのまど

五階の窓

平林 初之輔

02 合作の二

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,840 字 · 30 页

青空文庫

ポケットから鍵を取り出して、震える手先で鍵穴へ突っ込んで、ぎりっと回した。

「どうも晩くなってすみません」

と警官にしてはばかに丁寧な挨拶をしながら入ってきたのは、さっきの若い刑事であった。

冬木刑事は野田がストーブの傍へ持ってきた椅子にどかりと腰をかけて、野田と向かい合った。

「急に思い出したものだから、ちょっとお訊ねしようと思って来たのですがね」

冬木は朝日(当時の煙草の銘柄の一つ)の袋をポケットから出して、ガスで火をつけながら言った。

「それよりも前に、社長室のドアはまだだれも開けないでしょうな?」

刑事はちょっとドアのほうへ目をやった。

「はい、そのままにしてあります」

「実は、庶務の北川さんがたいへん不利な立場に立っておられるのでね、そのことでもう一度、あなたからはっきりお訊きしたいと思って来たのですが、北川さんが最後に社長室へお入りになった時刻は、さっきあなたがおっしゃった時刻に間違いありませんね?」

「はい、確かに四時十五分でした」

「それから社長室を出られたのは?」

「それから間もなくでした」

「間もなくというと?」

「そうですね。三分間か、せいぜい五分たったかたたないうちです」