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ごかいのまど

五階の窓

平林 初之輔

02 合作の二

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,840 字 · 30 页

青空文庫

「そうです」

と答えた声にも、震えが伝わっていたことは言うまでもない。

けれども、冬木刑事はそんなことはべつに気にもとめずに言った。

「その女が今日着ていた着物の地はなんでした?」

「銘仙だったように思います」

「羽織は?」

「メリンスだったように思います」

「羽織の柄には紫の色は混じっていませんでしたか?」

「ええ、大きな紫の模様がついていました」

会話はこれで終わって、冬木刑事は出ていった。刑事が出ていってからものの五分とたたぬうちに、またもや慌ただしい足音が階段に聞こえて野田をひやりとさせた。やはり、その足音も西村電機商会の事務所の入口の前でぴたりと止まった。

前と同じようにノックの音がする。

「どうも晩くなってから……」

と息を切らしながら、入ってきたのは探偵小説家の長谷川だった。

「さっきはたいへんでしたね。その後、べつに変わったことはなかったですか?」

「べつに変わったことはありませんが、ついいましがた昼間の刑事が来ました」

「ほほう。あの、背の高いほうですか低いほうですか?」

「低いほうでした」

「それじゃ、××署の冬木刑事だな。あの刑事はなかなかあれでしっかりしていますよ。