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きょうにつけるゆうべ

京に着ける夕

夏目 漱石

从热烘烘的东京跳上火车,一下子被甩进京都的春寒黑夜。坐在四面透风的车里晃悠,冷得直哆嗦——这古都怎么冷成这样?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,009 字 · 8 页

青空文庫

なるほど家があるなと気がついた。

玄関に待つ野明さんは坊主頭である。台所から首を出した爺さんも坊主頭である。主人は哲学者である。居士は洪川和尚の会下である。そうして家は森の中にある。後は竹藪である。顫えながら飛び込んだ客は寒がりである。

子規と来て、ぜんざいと京都を同じものと思ったのはもう十五六年の昔になる。夏の夜の月円きに乗じて、清水の堂を徘徊して、明かならぬ夜の色をゆかしきもののように、遠く眼を微茫の底に放って、幾点の紅灯に夢のごとく柔かなる空想を縦ままに酔わしめたるは、制服の釦の真鍮と知りつつも、黄金と強いたる時代である。真鍮は真鍮と悟ったとき、われらは制服を捨てて赤裸のまま世の中へ飛び出した。子規は血を嘔いて新聞屋となる、余は尻を端折って西国へ出奔する。御互の世は御互に物騒になった。物騒の極子規はとうとう骨になった。その骨も今は腐れつつある。子規の骨が腐れつつある今日に至って、よもや、漱石が教師をやめて新聞屋になろうとは思わなかったろう。漱石が教師をやめて、寒い京都へ遊びに来たと聞いたら、円山へ登った時を思い出しはせぬかと云うだろう。新聞屋になって、糺の森の奥に、哲学者と、禅居士と、若い坊主頭と、古い坊主頭と、いっしょに、ひっそり閑と暮しておると聞いたら、それはと驚くだろう。