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きょうかのこむすめどうじょうじ
京鹿子娘道成寺
酒井 嘉七
「探偵春秋 第二巻第六号」春秋社、1937(昭和12)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,841 字 · 49 页
(四)非計画的な殺人。常日頃から、半四郎に対して、殺意を抱いている。が、何の殺人計画も講じていない。――または、突発的な理由のために、殺意を生じた。殺人の計画もない。しかし、いまが機会だ――兇器は何でもよい。そこら辺りにあるものを取りあげて……と、いう風に決行された殺人。
(五)計画された殺人事件。綿密な計画と、周到な用意で、機械を組み立てるように準備された殺人計画。総ては、整った。今こそ――と、いうように感じられる殺人方法。
こうした、種々な、殺人事件の場合が考えられるでございましょう。そうすれば、いまも、申しましたように、殺人事件と考えられるような、人の死に出逢いました場合、それが、右の内のどれにあたるであろうか――と、かように考えることも、無駄ではございますまい。概略的な、そして、漠然とした分類のいたしかたではございますものの、これらのうち何れかの範疇に入らぬ殺人事件はございますまい。では、この河原崎座の殺人事件は、このうちの何れに属するものでございましょう。――まず、
(一)の被害者の自己殺人――これにあたりはいたしますまいか。いえ、決して、そうとは考えられないでございましょう。