轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひとのくに

人の国

豊島 与志雄

「随筆」1924(大正13)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,761 字 · 16 页

青空文庫

そのためか、顔色も多少よくなり、食慾はだいぶ進んできた。

そして、次の週の日曜日には、六歳と八歳との悪戯盛りの男女の子供を連れて、午前中から大森の姪が遊びに来たので、久保田さんは何だか勉強の邪魔をされる気もしたし、久しぶりで友人の顔が見たくもなって、大学奉職中の同僚を訪ねていった。久しぶりに話がはずんで、自分の著述のことまで吹聴しながら、引止められるままずるずると居据って、夕食の馳走にまで預ってしまった。それから、馴れない四五杯の酒に陶然として、一寸話が途絶えた時、実は夕方早く帰って皆と食事を共にするつもりだったことを、後れ馳せに思い出して、慌しく帰りかけた。

もうすっかり暮れてしまって、一日の遊歩から帰り後れた人々や、これから華かな巷へ出かけようとしてる人々などで、電車はぎっしり込んでいた。久保田さんはその中に挾って立ちながら、吊革に一寸左手をかけておいて、きらきらとした街路の燈火を、ぼんやり窓の外に見やっていった。そして頭の中では、課外講演といった風の形式ででもよいから、その大研究の片鱗だけでも学生に聞かしてくれないかと、先刻友人から云われた言葉を、得意然と味っていた。