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じんぶつはにわのめ

人物埴輪の眼

和辻 哲郎

「世界」1956(昭和31)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,170 字 · 7 页

青空文庫

土器の形も、模様も、怪奇性を脱して非常に簡素になった。人物や動物の造形は、銅鐸や土器の表面に描かれた線描において現われているが、これは縄文土器の土偶に比べてほとんど足もとへもよりつけないほど幼稚なものである。こういう弥生式文化の時代が少なくとも三世紀ぐらい続いたのちに、初めて古墳時代が現われてくるのであるから、埴輪が縄文土器の伝統と全く独立に作り始められたものであることはいうまでもない。しかもその出発よりよほど後に、たぶん五世紀の初めごろに、人物の埴輪が現われ出たとなると、この埴輪の稚拙さが日本の原始芸術の怪奇性と全く縁のないものであることは、一層明らかであろう。

埴輪人形の稚拙さについて第二に注目すべき点は、この造形が必ずしも人体を写実的に現わそうなどと目ざしていないという点である。それは埴輪の円筒形に「意味ある形」をくっつけただけであって、埴輪本来の円筒形を人体に改造しようとしたのではない。このことは四肢の無雑作な取り扱い方によく現われている。両足は無視されるのが通例であり、両腕も、この人物が何かを持っているとか、あるいは踊っているのだとか、ということを示すためだけに付けられるのであって、肩や腕を写実的に表現しようなどという意図は全然見られない。