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じんせいせいかいいん

人生正会員

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1941(昭和16)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,238 字 · 23 页

青空文庫

「三人なら正会員ですか?」

「先ずその辺だろうね。多々益※(二の字点、1-2-22)弁じる。俺が高等学校で読んだ英語の教科書に面白い話があった。ゴッテンブルグの伯爵というのが王様巡行の折、三十六名の息子息女を御覧に入れて、これが私の国家に対する貢献でございますと申上げたそうだ。意味深長じゃないか?」

「三十六人というと一腹じゃありますまい」

「幾腹でも構わない」

「すると……」

「何だい?」

「いや、もう結構です」

「来世の帳尻かい? それは又来世へ行った時の話だろう。生きているものは積極的に生きて行く外に仕方がない」

一周忌の法要が済んでから数日たって、僕達夫婦は社長邸へ夕食に招待された。相客があると思ったら、僕達と令息令嬢達ばかりだった。社長は立派な正会員だ。四男二女があって、一人も欠けない。長男次男は大学を卒業して、それ/″\職業についている。長女は嫁いでもう子供がある。

「喪中一年間、種々と面倒を見て貰って助かった」

と社長は食後僕達を別間に請じて、お礼を述べながら、金一封を尚子に推し進めた。足繁く通って貰った車代だと言う。

「頂戴して置きなさい。厭なら僕が貰うよ」