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じんぞうにんげんのひみつ

人造人間の秘密

海野 十三

「小学六年生」1940(昭和15)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,664 字 · 38 页

青空文庫

「向うに見えるあの丘陵を越えれば、国境は目の下に見えるのだ。あと七八十キロ!」

博士は、元気なこえで言った。

私たちの自動車が、丁度丘陵の下までやって来たときに、博士はなに思ったか、

「あっ!」

と叫んで、大急ぎで、ブレーキをかけた。

「どうしたのですか、モール博士」

と、私は、博士の背中越しにこえをかけた。

「また、人造人間部隊が現われた。あれを見ろ、行手の丘陵の上から、こっちへ向かって下りてくる」

なるほど、博士の目は早い。教会の垣根のように、整然と並んで、人造人間と思われる部隊が、例のすり足の行進で、ざくざくと、こっちへ向かってくるのであった。

博士は、車を停めると、双眼鏡をとりだして、新手の人造人間部隊をじっと睨んでいたが、

「おお、うしろに、ハンスがいるではないか。あいつ、ドイツ軍のまわし者だったんだな。ち、畜生!」

ハンス? 私は、双眼鏡をもっていなかったので、博士のように、ハンスの顔を、はっきり認めることが出来なかったが、しかし丘陵を駈け下ってくる人造人間部隊の一番後方に、一台の快速戦車があって、その掩蓋から、一人の将校が、首から上を出して、人造人間部隊を指揮しているらしいのが見えたが、多分それがハンスなのであろうと思った。