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じんぞうにんげんじけん
人造人間事件
海野 十三
「オール読物」文藝春秋、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,654 字 · 30 页
伯父に匹敵する研究家が、わが国に一人でも居ると思うのですか」
これには大江山も参ってしまった。かねがね竹田博士の身辺を保護する必要のあることを考えないではなかった。しかしいろいろな手不足のため、心配していながらも、博士の保護を実践しなかったことは確かに手落である。
大江山が敗色濃いのを見てとって、雁金検事が代って丈太郎にたずねた。
「すると君は、外国のスパイかなんかのことを云っているようだが、なにかそんな話を知っているのかネ」
「そんな話は、こっちで伺いたいくらいのものですよ。しかし私だって、すこしは気がついていますよ。この向うのサンタマリア病院の内科医ジョン・マクレオなんざ、ずいぶん奇怪な行動をしているじゃありませんか。僕は向うの国の興信録をしらべてみましたが、医者としてマクレオの名なんか見当りませんよ。それにあいつの目の鋭いことはどうです。彼奴は物差こそ持っていないが、ひと目睨めば大砲の寸法も分っちまうという目測の大家に違いありませんよ。あんな奴が、帝都の白昼を悠々歩いているなんざ、全く愕きますよ」
(そうか。あのジョン・マクレオという内科医が、そうなのか)と帆村は胸の中で自ら問い自ら答えた。