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ロボットさつがいじけん

人造人間殺害事件

海野 十三

「新青年」博文館、1931(昭和6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,836 字 · 18 页

青空文庫

一体、この海龍倶楽部は、表面は一秘密結社ではあるけれども、その背後には某大国の官憲の庇護があり、上海の警視庁と直通しているといわれ、何のことはない、某大国と中国警察との共同変装のようなものである。だから、その海龍倶楽部の副首領を暗殺するということは、非常に困難なことであり、危険さから云っても自ら爆弾をいだいてこれに火を点けるようなものである。暗殺行為の片鱗が知られても、僕はこの上海から一歩も外に出ないうちに、銃丸を喰らって鬼籍に入らねばならない。

「おい井東」と同志林田が、天井裏から青い顔をして降りてきた僕に、心配そうに呼びかけた。「こんどの指令は、大分大物らしいね。僕は君のためにあらゆる援助をするようにと本部から指令されてきた。なんでもするよ」

僕は忠実なる同志の方に振り向こうともせず、無言の儘、寝椅子の上に腰を下した。五分か、十分か、それとも一時間か、時間は意識の歯車の上を外れて、空廻りをした。僕の脳髄は発振機のように、細かい数学的計算による陰謀の波動をシュッシュッと打ちだした。

計画は出来上った。林田を自分の寝椅子の方に手招きすると、その耳に口をあてて、重要な援助事項を、簡潔に依頼した。