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ロボットさつがいじけん

人造人間殺害事件

海野 十三

「新青年」博文館、1931(昭和6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,836 字 · 18 页

青空文庫

林田の赤かった顔色が、見る見るうちに蒼醒めて、話が終ると、額のあたりに滲み出た油汗が、大きな滴となってトロリと頬を斜に頤のあたりへ落ち下った。

「井東!」と林田が、また懐しそうに僕の名を叫んだ。

「今度は所詮、お互に助かるまいな」

「……」僕は顔を静かにあげて微笑してみせた。

「うふふ」林田も笑った。「君はいつも自信のあるような顔をしているじゃないか。だが、この前のF鉱山事件といい、この間の松洞事件といい、某大国や警視庁は、あの兇行を君がやったことはよく知っているのだぜ。唯、犯跡が明白にわからないのと、君が前から海龍倶楽部の一員として活躍し相当彼等のためにもなっているところから、たとえ間諜でも今殺すのは惜しいものだと躊躇しているのだよ。だが今度の暗殺事件が、ちょっとでも下手に行こうものなら、直ぐ様、彼奴等は、君の自由を奪ってしまうだろう。ところで、今度の大将は、中々したたかものだ。まず君は引導をわたされていると考えてよい。つまらない自信だが、僕も骨を曝すつもりでいるよ」

同志は大変悲観をしていた。が、悒欝ではない。僕達の特務も、このたびが仕納めだと思うと、湧きあがってくる感傷をどうすることも出来ないのであろう。