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ロボットさつがいじけん
人造人間殺害事件
海野 十三
「新青年」博文館、1931(昭和6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,836 字 · 18 页
だが夫人にあまり附きまとわれては、こっちの仕事が一向にすすまなくなるわけだ。こいつは高飛車に出て、一遍で夫人を追い払うのがいいと思った。幸い、今夜の海龍倶楽部の会議迄には一時間ほどの余裕があった。
「夫人、では一時間だけお伴をしましょう」
「えッ、行って下さる。まア嬉しいわ」夫人は少女のように雀躍りしてよろこんだ。「そこに自動車が待たせてありますの、さあ、早く行きましょう」
夫人が左手をあげて相図をすると、路傍に眠っていた真黒なパッカードが、ゆらゆらとこちらへ近付いて来た。僕たちの乗った自動車は、真暗な商館街にヘッド・ライトを撒きちらしつつ走って行った。二十五番街へさしかかったとき、警告もなく、もう一台の自動車が、後から追いついて来て、いきなり窓と窓とを向いあわせて並列疾走をはじめた。僕は腰のあたりに爆弾をうちつけられたような無気味な寒気に襲われた。もう三十秒これがつづいたならば僕は運転手を射殺しても、この車から外へ飛び出そうと決心した。
「劉夫人!」
僕は夫人の両手を執って、ひきよせた。恋の抱擁と見せかけて、夫人をこの危急の際の仮の防禦物にしなければならなかった。