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じんぞうものがたり

人造物語

海野 十三

「新青年」1931(昭和6)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,674 字 · 17 页

青空文庫

いる。

人造染料が、天然染料よりも遥かに優秀な成績をあげていることは、これまた愉快なことである。

人造光線というのは、ビルディングが発達すると共に、ますます需要が多くなるだろうと思われるが、これは大きい広間の天井を擦り硝子張りとして、その上に太陽のスペクトルと同じスペクトルの電灯を点じて、あたかも、その広間の上は青天井で、雲雀でも舞っていそうな感じが出るのである。これなどは、たしかに執務の能率をあげるものとして、ますます需要が高くなってよい。四十階のビルディングの、その何十何階かに、小さくなっておしこめられていることが、ハッキリわかるのは全く面白くないことである。錯覚でもよいから、春の和やかな陽あたりを感じ、雲雀の舞いあがる気配を感じたい。

だが、こうした人造ものは、どうも話が面白くないので、この辺でやめることとし、人造人間の方へ方向舵をむけることにしよう。

*   *

楽屋落ちの昔咄を一つ。

それは今から七年ほどの昔に、本誌に御馴染の延原謙氏が、人造犬や人造人間を題材にした小説を発表せられた、と云うと鳥渡、僕達には面白いことなのである。