轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にんげんとゆわかし
人間と湯沸かし
小川 未明
「婦人倶楽部」1927(昭和2)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,082 字 · 7 页
ある日のこと、女中はアルミニウムの湯沸かしを、お嬢さんたちが集まって、話をしていなされたお座敷へ持ってゆくと、
「まあ、なんだね、お竹や、こんな汚らしい湯沸かしなどを持ってきてさ。これは、お勝手で使うのじゃなくって?」
と、お家のお嬢さんは、目をまるくしていわれました。
お友だちの方も、その方を見て、みんなが、たもとを口もとにあてて笑われました。なぜなら、その湯沸かしは、黒くすすけて、まるでいたずらっ子の顔を見るように、墨を塗ったかと思われたほどだからです。
お竹は、気まりわるく、顔を真っ赤にして、その湯沸かしを持って、あちらへはいりました。そして、今度座敷用の湯沸かしに、お湯を入れ換えて持ってまいりました。
すすけた湯沸かしは、お勝手もとの冷たい板の間に置かれたときに、お竹はその湯沸かしを見て、かわいそうになりました。なぜなら、一日よく働いて、自分の身をきれいにする暇もなかったからです。それにくらべると、茶だなの上に飾られてある銀の湯沸かしや、たばこ盆や、その他のきれいな道具たちは、一日働きもせずに、じっとしていて、それでも、みんなに大事にされていました。