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にんげんしっかく

人間失格

太宰 治

一个连笑脸都让人毛骨悚然的男人,从童年起就活得像场表演。翻开这本自白,你会看到最深处的孤独和挣扎。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,014 字 · 141 页

青空文庫

「やめた!」

と堀木は、口をゆがめて言い、

「さすがのおれも、こんな貧乏くさい女には、……」

閉口し切ったように、腕組みしてツネ子をじろじろ眺め、苦笑するのでした。

「お酒を。お金は無い」

自分は、小声でツネ子に言いました。それこそ、浴びるほど飲んでみたい気持でした。所謂俗物の眼から見ると、ツネ子は酔漢のキスにも価いしない、ただ、みすぼらしい、貧乏くさい女だったのでした。案外とも、意外とも、自分には霹靂に撃ちくだかれた思いでした。自分は、これまで例の無かったほど、いくらでも、いくらでも、お酒を飲み、ぐらぐら酔って、ツネ子と顔を見合せ、哀しく微笑み合い、いかにもそう言われてみると、こいつはへんに疲れて貧乏くさいだけの女だな、と思うと同時に、金の無い者どうしの親和(貧富の不和は、陳腐のようでも、やはりドラマの永遠のテーマの一つだと自分は今では思っていますが)そいつが、その親和感が、胸に込み上げて来て、ツネ子がいとしく、生れてこの時はじめて、われから積極的に、微弱ながら恋の心の動くのを自覚しました。吐きました。前後不覚になりました。お酒を飲んで、こんなに我を失うほど酔ったのも、その時がはじめてでした。