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にんげんかい

人間灰

海野 十三

「新青年」博文館、1934(昭和9)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,345 字 · 33 页

青空文庫

犯人が屍体を湖水の中に投じたことは判明しました。この上は、犯人がどうして屍体を灰のように細かくしたかと云うことが判ればいいのです」

「ああ、そうですか、」と工場主はブルブル震え手を自分の口に当てながら、「すると犯人は誰ですか」

「それはまだ言明できません。しかしもう解っているも同然ですよ」

「オイ出鱈目もいい加減にせんか」と社長がのさばり出た。

「このボンクラ署長に何が判っているものか。誰かに散々教授をうけていたくせに。つまらんことを喋るのを止して、早く任務を果したがよいじゃないか」

それを見ていた青谷技師は笑いながら、署長たちを工場の方へ誘った。

工場はたいへん広く、器械は巨人の家の道具のように大きかった。強力なる圧搾器でもって空気を圧し、パイプとチェンバーの間を何遍も通していると、装置の一隅から、美しい空色の液体空気が、ほの白い蒸気をあげながら滾々と、魔法壜の中へ流れ落ちていた。

一方では、液体空気をボイラーに入れて、微熱を加えてゆくと、別々のパイプから、酸素ガスやネオンやアルゴンなどの高価なガスがドンドン出てきて、圧力計の針を動かしながら鉄製容器の中へ入ってゆくのが見えた。