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にんげんかい

人間灰

海野 十三

「新青年」博文館、1934(昭和9)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,345 字 · 33 页

青空文庫

と署長が叫んだ。

「イヤ今に見えてきます。ほら、この台の上をごらんなさい。赤い灰のようなものが、だんだん溜ってくるでしょう。飛び散ったのが、下りてくるのです。――これが粉砕された。林檎の一部です。……」

丘署長はこのとき棒のように突っ立った。

「ああ判ったぞ。ああ、判ったぞ」

彼は胸を叩いて喚いた。

「ああ、人間灰事件の謎が遂に解けたぞ、七人の犠牲者は、いずれも液体空気の中に漬けられたのだ。そして氷点下百九十度に冷凍され後、金槌かなんかで打ち砕かれ、あの人間灰に変形されたのだ。よオし判った。犯人は確かに、この空気工場の中にいる!」

そう署長が叫んだとき、卓上の電話がチリンチリンと鳴った。青谷技師がそれを取上げようとするのを、昂奮しきった署長は横から行って、ひったくるように取上げた。

「モシモシ。誰か来て下さい」

と、上ずった悲鳴が聞えた。

「君は誰だ。名乗り給え」

「ああ、近づいて来る。妻の幽霊だ。助けて呉れッ。ああ、殺されるーッ」

異様な叫びと共に、電話は切れた、署長の顔は、赤くなったり蒼くなったりした。電話の主は工場主の声に違いなかった。

「赤沢氏が幽霊に襲われ、救いを求めている。