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にんげんせいぞう

人間製造

国枝 史郎

「ポケット」1924(大正13)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,606 字 · 22 页

青空文庫

無数の人間が飛び出して来る。皆、拳骨を振り上げている――その又拳骨の大きいことは! ――一人の男が蛇のような気味の悪い縄を持っている。みんなが自分をどやし付ける。上句の果に縛られる。そこへ巡査がやって来る。それから警察。それから牢屋! 牢屋じゃァ無い刑務所だ。その刑務所の鉄格子……。

「駄目だ! 不可ねえ! もう駄目だ!」

彼は突嗟に観念した。縛り好いように両手を差し出し、そうして堅く眼を閉じた。

「泥棒と疑われても仕方がねえ。こんな夜中に弁解りもせず、こんな穢い身装をして他人の家へ窃り忍び込んだんだからな……早く縛るがいい何を為ているんだろう?」

彼はヒョイと眼を開いて見た。と、四辺は静である。戸も開かなければ人も出て来ない。廊下と室々とが並んでいるばかりだ……。

「はてな?」と、彼は首を傾けたが、俄に全身総毛立った。

「こりゃ、化物屋敷かな?」

斯う思うと同時に遠くの室から、

「むーう」と唸る声が聞えて来た。

「助けて! 助けて! 助けて!」

と、泣叫ぶ声も響いて来たが、両方ながらぷつりと消えて、森然と復もや静になった。すると今度は正面の室から、女の笑う嬉しそうな声が「ホ、ホ、ホ、ホ、」