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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
(たとえば蛇の生殺しのような、そんな境遇に置いているのだからなあ)
一月前のことである、松浦頼母の屋敷の乱闘で、云いかわしたお八重とは別れ別れとなった。あやめの妹だという女猿廻しの、お葉という娘とも別れ別れとなった。殺されたか捕らえられたか、それともうまく遁れることが出来て、どこかに安全に住んでいるか? それさえいまだに不明であった。
三下悪党
主税とあやめばかりは幸福にも、二人連れ立って遁れることが出来た。
しかし主税は田安家お長屋へ、帰って行くことは出来なかった。いずれ頼母があの夜の中に、田安中納言様へ自分のことを、お八重を奪って逃げた不所存者、お館を騒がした狼藉者として、讒誣中傷したことであろう。そんなところへうかうか帰って行って、頼母の奸悪を申し立てたところで、信じられようはずはない。切腹かそれとも打ち首にされよう。これは分かりきった話であった。
そこで主税は自然の成り行きとして、浪人の身の上になってしまった。そうしてこれも自然の成り行きとして、あやめと一緒に住むようになった。
「おりを見て荏原屋敷へ忍び入り、お実父様の敵を討たなければ……」