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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
頼母の家来の一人の武士が、いつの間に用意したか弓張提燈をかかげて、階段を駆け上り姿を現わした。
その脳天を真上から、主税は一刀に斬りつけた。
わッという悲鳴を響かせながら、武士は階段からころがり落ちた。
「居たぞ!」
「二階だ!」
「用心して進め!」
声々が階下から聞こえてきた。
さまよう娘
この頃植木師の一隊が、植木車を数台囲み、荏原屋敷の土塀の外側を、山の手の方へ進んでいた。車には植木が一本もなかった。
どこかのお屋敷へ植木を植えて、車をすっかり空にして、自分たちの本拠の秩父の山中へ、今帰って行く途中らしい。
二十人に近い植木師たちは、例によって袖無しに伊賀袴を穿き、山岡頭巾をかむった姿で、粛々として歩いていた。
その中に一人女がいた。意外にもそれはお八重であった。
やはり袖無しを着、伊賀袴を穿き、山岡頭巾をかむっている。
肩を落とし、首を垂れ、悄々として歩いて行く姿は、憐れに寂しく悲しそうであった。それにしてもどうして植木師などの中に、彼女、お八重はいるのであろう?
松浦頼母の一味によって、田安様お屋敷の構内で、お八重もあのとおり迫害されたが、でも辛うじて構内から遁れた。