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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

わずかと覚悟しておる。わがなき後はこの大家族の、荏原屋敷を切り廻してゆくこと、女のお前ではとうてい出来ない。幸い主馬之進殿そなたに対し、愛情を感じておるらしく、それに主馬之進殿の兄上は、田安家の奥家老で権勢家、かたがた都合がよいによって、俺の死んだ後は主馬之進殿と、夫婦になって荏原屋敷を守れ』と……その時妾はどんなに悲しく『いいえ妾はあなたの妻、あなたがおなくなりなさいました後は、有髪の尼の心持で、あなた様のご冥福をお祈りし』『それでは屋敷は滅びるぞ! 先祖に対して相済まぬ!』『では妾は形ばかり主馬之進様の妻となり……』こうして妾は良人の死後……」

「その御先代の死態だが……」

いよいよ迫る死の息の下で、主馬之進は云いついだ。

「変死、怪死、他殺の死と、人々によって噂され、それに相違なかったが、しかし決してこの主馬之進が、手をくだして殺したのでもなく、他人にすすめて殺したのでもない! ……わしの僕のあの勘兵衛、わしがこの家へ住み込ませたが、性来まことにかるはずみの男、勝手にわしの心持を……わしが先代のこの屋敷の主人の、死ぬのを希望んでいるものと推し、古沼から毒ある長虫を捕り、先代の病床へ投げ込んで……」