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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

「お館様!」と頼母も顔色を変え、五十を過ごした白い鬢の辺りを、神経質的に震わせた。

中納言家はこの時四十歳であったが、宗武卿以来聡明の血が伝わり、代々英主を出したが、当中納言家もその選に漏れず、聡明にして闊達であり、それが風貌にも現われていて鳳眼隆鼻高雅であった。

でも今は高雅のその顔に、苦悶の色があらわれていた。

「とにかく、内通者を至急見現わさねばならぬ」

「御意で。しかしいかがいたしまして?」

「これは奥に取り計らわせよう」

「奥方様にでござりまするか」

「うむ」と中納言家が言われた時、庭の築山の背後から女の悲鳴らしい声が聞こえ、つづいてけたたましい叫び声が聞こえ、すぐに庭番らしい小侍が、こなたへ走って来る姿が見えた。

「ご免」と頼母は一揖してから、ツカツカと縁側へ出て行ったが、

「これ源兵衛何事じゃ※(感嘆符疑問符、1-8-78)」と庭番の小侍へ声をかけた。

小侍は走り寄るなり、地面へ坐り手をつかえたが、

「お腰元楓殿が築山の背後にて、頓死いたしましてござります」

「ナニ※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

頼母は胸を反らせ、

「楓殿が頓死※(感嘆符疑問符、1-8-78) 頓死とは?」