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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
とは云え、その次の瞬間には、主税は二本の白刃の下に、身をさらさざるを得なかった。
しかし、辛うじてひとりの武士の、真向へ来た刀を巻き落とした。
でも、もう一人の武士の刀を、左肩に受けなければならなかった。
(やられた!)
しかし何たる奇跡か! その武士は刀をポタリと落とし、その手が首の辺りを掻きむしり、前のめりにドッと地上へ倒れた。
勘兵衛の死に態と同じであった。
その時であった側の大藪の陰から、女の声が聞こえてきた。
「助太刀してあげてよ、ね、助太刀して!」
「参るぞーッ」という怒りの大音が、その時女の声を蔽うたが、一人の武士が大鷲さながらに、主税を目掛けて襲いかかった。
悄然たる太刀音がし、二本の刀が鍔迫り合いとなり、交叉された二本の白刃が、粘りをもって右に左に前に後ろに捻じ合った。
主税は刀の間から、相手の顔を凝視した。
両国橋で逢った浪人武士であった。
解けた独楽の秘密
「やあ汝は!」と主税は叫んだ。
「両国橋で逢った浪人者!」
「そうよ」と浪人も即座に答えた。
「貴殿が手に入れた淀屋の独楽を、譲り受けようと掛け合った者よ。……隠すにもあたらぬ宣ってやろう、浪速の浪人飛田林覚兵衛! ……さてその時拙者は申した、貴殿の命を殺めても、淀屋の独楽を拙者が取ると! ……その期が今こそめぐって来たのじゃ!」